真実を以って、理想に伝う/もっと肩身が狭いルカリオ/農業オオカミと男ロリータ

 

 

 いよいよ2022年も最後となりましたが、一年が終わろうと明日は来ますし、毎日は続いてゆくし、新年の私も変わらずなにかしらを書き続けるでしょう。新しいことに集中するためにも、やり残すことのなきよう語り尽くしてしまいましょう。

 最後の振り返りです。

 

 

 

 
名無しの4Vクリムガン(仮) ‐ 真実を以って、理想に伝う ‐ 後編

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 このシリーズが完結した日に、このブログで一応の振り返りなどをしたのですが、あのときは全体の所感といいますか、シリーズに対する気持ちを書いたので、内容には極力触れずにいました。なのでここできちんと語りましょう。

 

 今作を書いていてとても苦労したのが、Nの扱いでした。Nというキャラクターを考えればクリムガンとの親和性も高そうに思えましたし、近シリーズのラスボス的存在として最初から想定してもいました。

 無口な主人公たちとは違い、Nは明確な個性を設定されています。「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」はNの物語という側面もありますし、たいへん人気のあるキャラクターでもあります。生半可な扱い方はできません。4Vクリムガンは基本的に好き勝手に書いてきたシリーズでしたが、ここでとうとう、きちんとした二次創作をしなければなりませんでした。原作のNのイメージからあまりにもかけ離れたことは書けないのです。

 地味にネックだったのが、「Nは数学の天才」という裏設定です。恥ずかしながら、私は理系分野にはほとほと疎いものでして、高校数学でさえちんぷんかんぷんだったりします(美術の高校に通っていたのでそもそも数学の授業がなかったというのもあるが)。作者より頭のいいキャラを書くのは原理的に不可能ですので、私などではNを書くことなどはっきり力不足なのでした。

 しかし幸い、原作本編ではこの設定はそれほど明確には出てきませんでした。数式に関するセリフがいくつかあるくらいでしょうか。クリムガンと数学議論などできたら面白そうではあったのですが、書けないものは仕方ない。あまり数学にこだわらない方向性でNを書き、なんとか誤魔化しました

 

 次に、Nの相棒をゼクロム・レシラムのどちらにするかでも迷いました。個人的にはNにはレシラム、トウヤ・トウコにゼクロムのイメージが強いですが、ここはフラットに見るべきです。

 クリムガンが相対する敵としては、理想の存在のゼクロムよりは、真実の存在のレシラムの方がふさわしそうな感じがします。ただ、クリムガン自身も「正常人が到達しえない真実」の世界観に生きているキャラクターではありましたので、真実/レシラムを味方につけてNのゼクロムと対決するのも面白そうでした。まあ今作はNとの対決だけを書けばいいものでもありませんでしたし、レシラムがクリムガンに同調する理由付けなども加えて事態が複雑になりすぎると、ほかの内容とのバランスが取れなくなりそうでした。このシリーズ自体、それなりにややこしい話をしますので、Nとの衝突くらいは背後関係などすっきりとさせてわかりやすく書いたほうがよさそうに思い、今の形に落ち着きました。

 

 私がしばしば思うこととして、ターン制を採用したゲーム的なポケモンバトルは、勝敗を決める競技の観点では無理がありすぎるということです。トレーナーがポケモンに指示を出して、ポケモンが技を放つ。それを見て相手トレーナーもポケモンに指示を出し、技を受けるなり避けるなりするわけですが、受け手のトレーナーがそんな指示を出している間に、相手の技はどうなっているでしょう?

 リアルタイムに状況が変化する戦闘において、指示を出しながらの対応などどだい不可能なのです。これについては昔「最強のルカリオ」でも触れ、戦闘をかなりハイスピードな描写にしたものです。ポケモンの身体スペックを考えれば、そうなりそうなものだと思います。

 というわけで、トレーナー同士のポケモンバトルならともかく、ルールに守られない戦闘行為を書く場合、私はそういうことを踏まえて書きます。攻撃行動なども技にはこだわらずシンプルな肉弾戦をとる場合もあります。今作でも、クリムガン対レシラム戦は意識してポケモンバトルっぽくならないように心がけました。1ターンに行動は一つだけなんて、命の奪い合いにそんな甘えは通用しませんポケモンだってポケモンを食べて生きている以上、ポケモンバトルなどという生易しい戦いのほうがむしろ稀とも思えます。

 

 BWのストーリーは、最終的には主人公とNが互いの信念を否定しあうために戦うものでした。結果、主人公に敗れたNは考えを改めてゆきます。今作のNはそういった経緯を辿ったあとのNとして描きましたが、主人公と戦う以前のNであれば、クリムガンに共感できる部分もあったかもしれません。

 そういうNを見てみたかった気もしますが、このクリムガンとNが団結してしまうと、どう考えてもろくでもないことにしかなりません。クリムガンは野生のポケモンだからまだしも許されているようなものを、レシラムとかいう伝説のポケモンを従えたNなんかが協調してしまったら実行力がえぐいことになります。話の収拾がつかなくなるのが目に見えています。

 これまでは面白そうなネタでエピソードを書いていればそれでよかったのですが、今作に関しては、話のまとまりというのを意識しないわけにはいきません。私はこのシリーズの完結を書きたいのです。

 

 

 N以外にも触れましょう。ポケルスについてです。

 クリムガン厳選漏れのポケモンですので、もちろんポケルスにも感染しています。本文にはまったく書きませんでしたが、これはプロローグの時点からずっとそうです。

 ポケルスの設定に関してかなりの拡大解釈と捏造をしていますが、それよりなにより、明かすかどうか最後まで悩みました。これまでクリムガンがしてきてこと、考えたことの一部あるいは大部分がポケルスによる影響だと判明してしまうわけです。クリムガンは自我が弱いと何度か作中で書いてきましたが、これによって本当の意味でクリムガンの自由意志が疑わしくなります。言ってしまえば、クリムガンはやりたいようにやっているつもりでいて、実際にはポケルスに操られていたようなものですから、自我なんてものを軽視しているクリムガンの話とはいえ、相当グロい話になります。あえてそうとは書きませんでしたし、あくまで解釈次第なところでもありますが、そう理解されても仕方がない部分です。

 クリムガンがそのことをどう感じるのかに関わらず、ポケルスの設定はこれまであった印象をひっくり返しかねません。それほどたくさんではないにしろ、このシリーズに長く付き合ってくれた読者に対して、最後にぜんぶを台無しにしてしまうようなことを、してしまっていいのかどうか……

 でも結局、書くことにしました。それによってしか書けないことがあると思ったのです。それに、この設定が悪印象になるとこちらから決めつけるのもよくない。語れることは、可能な限り明確にしておくべきです

 

 そもそもどうあれ、ポケルスというのはいずれ消滅するウイルスです。原作では72時間が経過すると消滅するところを、今作ではそれなりの長期間、生存していますが、システム的に72時間というだけで、あの世界ではどれくらい生きるのかは明記されていないのがポケルスですから、ここは存分に二次創作させてもらっています

 生まれたときからそばにいて、影響を残し、消えてゆく。こう書けば、ポケルスもなかなかロマンティックな存在です。そういうふうに活かそうと思いました。

 

 ポケモンの孵化厳選の経験がある方ならご存知のことと思いますが、ポケモンは場合によっては親から個体値、技、性格を引き継ぎます。私はこの「技引き継ぎ」の部分を、知識や経験、すなわち記憶の継承と受け取りました。そういうことができる不思議なモンスター、それがポケモン。その部分をポケルス繋ぎ直し、このようなクリムガンが誕生した、というわけです。

(やはりこういうことを作外で明かすのはとてもいやですね。でもこれは本編中ではだれの視点であっても語りようのないことでしたので、致し方なし)

 

 

 少しだけ、クリムガンについても語ります。

 さまざまなエレメントモデルを通し、クリムガンは最後に、ある程度の納得と妥協を獲得できました。「他者」などろくに顧みないように振る舞いながらも、少なからず受け取ってきたものはあるのです。微塵も成長していないわけではない。それを読み取ってもらいたいような気もするし、まったくそうとは感じられないのもまたよしです。でもこんなことを書いたら、「クリムガンは成長した」という事実が、もう二度と消えはしないでしょう。ああいやだ。語れば語るほどクリムガンが死んでゆく気がする(それを思うと、今作で手紙を書こうとしたクリムガンは本当に自殺寸前だったのだなあ)。

 ただ、クリムガン的にはこれを成長と言っていいのかどうかもわかりません。その変化を好ましく感じて「成長」と言ってしまうのは、正常人の考えです。アレはそんなふうに理解されたくなどないような気がします。なので単に「変化した」、と言うべきでしょうか。本当にいちいちがやかましく、こまっしゃくれた考えですが。

 でも、そのような形でしか生まれてこられず、生きてゆけない命もある

 世間が望むところと合致しない心を持ってしまったら、いったいどうすればいいのでしょう? ありのままの心で生きてゆくには、世界はあまりにも狭量すぎる。みんながみんなありのままでいたら、世界のほうだって困るに違いない。しかし「自分」を押し殺して生き延びたところで、息苦しくていずれ窒息しそうだ。

 どうしてこんな不自由な思いをしなければならないのでしょうか。こういうふうに生まれたというだけの理由で、だれが、どういう権利があってこんな不自由を強いてくるのでしょう。それならいっそ、こんな「自分」なんてなければいい。自我なんてものがあるからこんなに思い悩まされるのです。計算と論理だけにすべてを任せることができれば、どんなにか楽に生きてゆけるでしょう。

 そう思うのに、手放し難いのが「自分」です。

 

 理解しろ、とは言うのは無理があります。というよりも、他者の考えなんて理解できるほうが稀です。理解などされなくてもかまいません。

 でもせめて、こんなやつがいるということだけは拒否しれくれるなと思うのです。

 そういう考えの凝縮が、このクリムガンでした。クリムガン、というかこのシリーズ自体、考えれば考えるほどに、クリムガンというポケモンの姿を借りて私が言いたいことを代わりに言わせているだけのような気がしてなりませんでした。

(でも、まあ、創作ってそんなようなものじゃないですか。多かれ少なかれ)

 

 

 このシリーズのクリムガンは、なんとも愚かで、哀れです。あまりにも救いようのないキャラクターを生んでしまったと思います。クリムガンの望みは、到底叶えられないものばかりです。根源的な救いなどアレには決して訪れないでしょう。幸せになるなんてまず不可能のように思えます。

 それでもどうにかこうにかやってゆく物語を書き続けていると、なんて愛おしいんだろうと思うようになりました。なにもかもが不満で、怒りや悲しみどころか殺意さえ湧いてくるというのに、平気なような顔でそれを手放して、うまいこと計算して生きてゆこうとするのが私のクリムガンです。それを不幸だともたいして思っていない。生き方が痛々しすぎる。そんな姿があまりにも愛おしい

 でもそれも、もうそろそろいいんじゃないかと思ったのでした。

 

 

アニポケでは不思議とヒーロー的な扱いが多い。

 

 

 だれにも理解されない、だれともわかちあえない、だれとも一緒にはなれない――という話ばかりを書き続けるのは、どうも自傷行為じみていて、もうじゅうぶんだと感じます。ある程度、吐くことは吐きました。ぜんぶとは言わないまでも、少しくらい伝わるものもあったでしょう。

 シリーズ完結までの十年で、私も30歳になりました。実感こそないですが、私はもう大人になっているのです。これでもいい加減、少しは角も取れて丸くなりました。スポイルされたとも言えますが。完全に、とはいかないまでも。

クリムガンを にがますか?」の選択肢で、「はい」を選んでやりたいような気になりました。いよいよですね。

 

クリムガンを にがしてあげた。バイバイ、クリムガン!」

 そんなところです。

 

 このシリーズについて、語りたいことは山程あります。聞きたいと言われれば拒絶もしないでしょう。そういうのは楽しいものです。嬉々として語るでしょう。私はクリムガンではありませんので、わかりあうという行為を憎悪まではしません。全然、他人とわかりあいたいです。

 でも基本的には、このシリーズの感想は読者の感じるままに任せておきたいです。語りたいというのは私の欲望ですが、作品にとってはあまり語るべきではない……ということはままあります。なので、ひとまずはこれで。クリムガンは私の手の届かない場所へ行って、好き勝手にしててくれればいいのです。

 ずいぶん長い間、楽しませてもらいました。このシリーズを書き、完結させられたことは、私のみみっちい誇りです。

 では、次にいきましょう。

 

 

 

 

A特化ダイマエース型ルカリオは伝説幻無制限環境でもっと肩身が狭い

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 このルカリオで新作を書くことになるなんて、想像もしませんでした。

 でも仕方ないじゃないですか。環境があれ以上の地獄と化したのですから

 

 剣盾末期、ランクマッチは最後の悪ふざけのような、お祭りじみたレギュレーションになりました。伝説・幻のポケモンを無制限に使用できたのです

 

 は?

 

 新しく幻のポケモンがランクマッチデビューとなったわけですが、幻のポケモンは伝説に比べれば幻のポケモンは合計種族値が低いので、脅威としてはまだしも少ないです。問題は伝説6匹パーティを組めるようになったこと。こうなってはもはや、ルカリオどころかサンダーや霊獣ランドロスでさえ明確な理由がなければ採用が厳しい。伝説2匹環境では使用に制限があったからこそ、エース運用ができるポケモンが人気でした。受けやサポートは一般ポケモンに任せればじゅうぶん。それが無制限に使用可能となれば、当然合計種族値の高い伝説に任せるに決まってます。

 ルギアやルナアーラのような、超優秀でありながら伝説枠を割いてまで採用するのはもったいないと言われたポケモンも、当たり前のように見かけるようになりました。優秀過ぎるザシアンの影に隠れていた不遇伝説のザマゼンタでさえ壁貼り要員として大活躍していたのです。

 どこを向いても禁止級伝説です。地獄すぎるだろ

 

 そのころになると、もうルカリオを使うことがはっきり苦痛でした。これはルカリオが弱いという話ですらありません。種族値の足りないポケモンすべてが土俵に上がることすら許されなかったのです……と、こんな書き方はよくありませんね。私がよく見るYouTubeチャンネルの対戦実況動画では、一般ポケモンどころか未進化ポケモン縛りで伝説・幻無制限環境を戦っていたのですから。まさしく、ポケモントレーナーの姿です。ルカリオを活かしきれない私がただ実力不足なだけです。

 ですがいずれにせよ、環境としてルカリオが厳しいことは事実です。活躍できるバトルはまったくのゼロではありませんが、選出できる機会はぐっと減りましたし、パーティの主役と呼ぶことはできなくなりました。こんなことでは、対戦がもう全然つまらない……

 そんな環境が一年以上も続けば、私はいつの間にか、ポケモンバトルを楽しめなくなってしまっていました。ルカリオが役に立たないポケモンバトルなんて……

 

 

 

モナーが狂喜乱舞したハロウィンの公式イラスト



 ただ、この環境も悪いことばかりではありませんでした。幻のポケモンを使えるということは、ゼラオラを採用できるのです!

 

 こんな環境ですから、せめて創作でくらいルカリオをエッチな目に合わせてホクホクしなければやっていられなかったのです。伝説や幻たちにいい子いい子されながら死ぬほど気持ちよくなるルカリオを書けるのは、このレギュレーションのうちだけです。ヤケクソのようになって書きました。

 

 前作ではルカリオバンギラス以外に野生のウォーグルワルビアルゴロンダを登場させましたが、セリフは一切なしで、漫画でいえば顔の映らない竿役のような扱いでした。しかし今作で書くのは、パーティの仲間たちとのエッチです。どうあっても個性を書きわけねばなりませんでした。前作でも手持ちの仲間同士でのわちゃわちゃ感は好評だったので、今作でもある程度はその効果を狙っていました。

 どのポケモンにどのような性格付けをするのかが問題でしたし、パーティとしてある程度機能する組み合わせを考えるのにひと苦労しました。今作では手持ち全員にエッチシーンを用意するつもりだったので、あまりヘキでないポケモンを採用するのはためらわれたのです。しかも伝説のポケモンというのは往々にして体が大きく、ルカリオとの体格差がえらいことになってエッチが無茶になります。

 あまり体が大きすぎず、それなりにエッチなポケモンだけを集め、一応パーティは完成したものの、性格で最後まで難しかったのは、ザシアンでした。ここでもおまえはおれを悩ませるのか。

 あまりオラオラした性格にするとバンギラスと被りますし、クール系にしてもゼラオラと被りそうな気がします。明るくても暗くてもいけない。かといって、変化球のようなキャラはミュウとホウオウでもう2匹もいるのです。なかなかしっくりくる性格付けが思いつけませんでした。ここがなかなか埋まらずに、長いこと書きだせませんでした。

 そこで某氏に相談したところ、「いっそ犬でいいんじゃん」という提案をいただきました。某氏はある日、道で超デカい犬を見かけたことがあって、その犬はおとなしくしているだけだったのですが、それだけでも大変にかわいかったというのです。デカい犬はかわいい。

 まったくの無口の犬キャラ、意外といいかもしれません。文章にも緩急がつきます。そのまま採用にして、ようやく書き始めることができました。始まりさえすれば、これが実に楽しかった。さすがに6Pは書ける自身がなかったので、3~4Pを何回かやるというふうにしましたが、これはこれで、いつも書いているようなエッチシーンとは違う味付けができて、いい雰囲気になりました。

 

 

 思い悩む推しはかわいいものです。そして、そういう推しはどろどろに甘やかされればよいのです。対戦は苦しかったですが、今作を書けたのもとんでもないレギュレーションがあってこそ。やはり、ポケモンで二次創作をする者は一度は対戦に身を投じるべきなのです。含まれる愛情が桁違いです。

 

 最新作のSVは、現在準伝説が使用不可の環境で、新システムのテラスタルダイマックスやZわざよりもルカリオと相性がいいです。きっとルカリオは、パルデアではそれほど肩身が狭くないし、準伝説たちの環境になったとしても、まずまずやってゆけそうです。対戦でルカリオをバリバリ選出できて嬉しい反面、このシリーズの続編はもう書けないかもしれません

 それでもパルデアでのルカリオで一本、いずれは書きたいなと思っています。今度はどんなルカリオが書けるでしょうか。今はまだ構想もなにもありませんが、新環境もルカリオとめいっぱい楽しみます。私のポケモン二次創作は、いつだってそこからなにかが始まるのです!

 

 

 

農業オオカミが幼なじみを赤ずきんにしちゃうエッチなクリスマスの話

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 では、2022年最後の投稿になるであろうクリスマス小説です。これにて2022年を締めくくりましょう。

 

 キャプションにもあるとおり、ケモノストーリーコンテスト2023に向けて用意していたネタを、一度ボツにして書き直したものです。ケモノストーリーコンテストが開催されるケモノコンベンション「JMOF」は1月に開催されますので、応募自体は9月ですが、時期を合わせて冬の話を書いていました。

 時期も時期なのでクリスマスにも触れてはいましたが、本線ではありませんでした。ただこれを改めてクリスマスに出すのなら、もう少しクリスマス感をアップさせて書いたほうがよかった気がします。なんかクリスマスっぽくねえよなあ?

 それから、もう少し書きたいことがあったのですが、クリスマスに間に合わせようという焦りがあって、失念してしまいました。そんなに長いものでもないので、そのうちしれっと加筆すると思います。

 

 ガブジュナの件でストレートなラブロマンスを書けるということもわかったので、今作は最初から凝った話にするつもりはありませんでした。すっきりと読めるラブコメでいこうと思っていたのです。

 とはいえ、最初はもう少しディープな内容を考えていました。たとえば、今作に登場させた佐々木ですが、彼は最初、光に対して「ライブではそういうカッコはしないでくれよ、恥ずかしいから」と暴言を吐く場面を構想していました。そしてショックを受けた光を、Vivienne Westwoodを着るような人間ならそれくらいは貫いてみせろと元が元気づけて、絆を深めるという一幕です。ただ、実際に書いていると今作は実に平和的で、元と光がホームステイ期間をエンジョイするだけでも、どうやらそれなりに楽しめるものになってきていました。ストーリー的の盛り上げを意識して、わざわざ水を差す必要もなさそうだったのです。私のやりがちな、意味不明すれすれのポエティックさも徹底的に排除しました。これは今作の雰囲気に合わせるためでもあり、ストーリーコンテストに出すうえで、アクの強さを抜くべきと考えた名残でもありました。

 

 

おとぎの国の赤ずきんちゃんジャンパースカート・フード付きケープセット。

 

 

 3月に東京へ行く機会があり、新宿のVivienne Westwoodを見にいくついで、BABY,THE STARS SHINE BRIGHTも見にいったところ、ちょうど「おとぎの国の赤ずきんちゃんジャンパースカート」が再販され、飾られていました。BABYのお洋服はやはりとんでもなくキュートでカッコよく、中でもこの赤ずきんジャンスカは飛び抜けていました。それ以来、「これを着たキャラクターをなんとかして書きたい」とずっと考えていたのです。今作もまた、萌えが先行した話でした。

 ただし、書くのであればやはりケモホモもしくは獣×人のBLで書きたい。そうなると必然、ロリータを着る男を書かなくてはならない。男同士の恋愛ですらじゅうぶんに障害あるロマンスだというのに、加えてロリータまで着せるというのは、難儀でした。どうあってもアブノーマルになりすぎる

 しかし、そんな懊悩などなんのその。Vivienne Westwoodのパンクの精神は、女装程度でうろたえないのです。元々、帰国子女のキャラクターとのロマンス物を書きたいとは思っていましたので、ここはロンドンからの帰国子女で、Vivienneな男の子を登場させることにしました。そしてBABYを着るとなれば、やはり男とはいえヒロインメイクは外せない。光・レイモンド・アルヴェスタの誕生です。

(アルヴェスタといえばストーリーコンテストの応募作品でもこの名前を出しました。元がストコン用のものだったので、今作のアルヴェスタをストコン応募作の方へ流用した形です) 

 ただ光は、いわゆる男の娘というのとは違いますので、見ただけでは女の子にしか見えないが、脱げばしっかり男の体というお約束を、今作ではあまり書けませんでした。正直、BABYのお洋服と、男がそれを着るロマンを描けた時点で、それなりに満足してしまったのです。投稿までの猶予がギリギリだったこともあり、エッチシーンは事後処理的に執筆してしまい、失念していたのです。せっかくBABYな男の子とエッチなことをする話を書いたのに、とてももったいないことをしてしまいました。

 元が農業をやっているという点も、活かせていたかどうか。別に農家でなくとも、この話は成立させられるような気がします。実は今作はそもそも、BABYや帰国子女よりも先に、農家なオオカミさんを書きたいなという思いで書き始めたものでした。その割に、光と元のロマンスに農業がさほど食い込んできていないように思えますし、そもそも農家の暮らしをもっとたくさん書きたかった。畑を荒らすハクビシンやイノシシに悩まされたり、漁師のぞんざいな仕事ぶりに腹を立てたり、野菜作りで感じる様々な歓びなども、もっともっと文章にしたかった。

 やはりこれをストコン応募作にしなくてよかったです。小説の完成度という意味では、無料公開するのがせいぜいでしょう。

 

 ただ、今作を書くこと自体は楽しかったです。農業について調べる作業はとても興味深くて楽しかったですし、光に対してなんとなく引け目を感じている様子を書けたのもよかった。VivienneやBABYなどは、言うまでもありません。しかしまだまだ書き足りない。なのでできれば、またロリータを書きたいです。リベンジマッチです。

 

 

ALICE,and the PIRATESのくりすくん。実は元のモデルだった。

 

 

 

 

 以前の記事でも書きましたが、2022年はポケモンばかり書いていたような気がしていたので、今作はエッチあり一次創作のリハビリ的な部分もありました。なので、まあこんなものかなという感じもあり、同時にここまでしかできなかったという悔しさも残りました。

 正月用の小説も、ちょっと書けるかどうかわからないところです。時間が足りないというのもありますが、ネタ出しが不十分で、つまんないものしか書けないような気がするのが理由です。書けたとしても、このぶんでは三が日に間に合わせるのもちょっと無理でしょう。

 やっぱり時期のものは、その時期になってから書くのでは遅いです。余裕が足りず、どうしても雑に書いてしまいます。来年からは、前もってある程度仕上げておくことを心がけようと思います。

 

 そんな具合で、ひとまず2022年の執筆作について振り返り終えました。これ自体も、あとから考えれば書きたかったことが思い浮かんだりしました。年内に振り返りを済ませるには、一日で何作を取り上げるかというペース配分もあり、同時に小説も執筆してと、どうもバタバタしてしまいました。やっぱり何事も、余裕をもってとりかかるのは大切です。クリスマス小説や正月小説もあらかじめ準備できていれば、ブログの方をゆっくり書けるのです。

 この調子だと、来年の豊富は「計画性」が主なところでしょうか。こういうのも、定期的に創作を続けているからこその学びです。2021年以前は結局、書きたいときに書けるようなものを書いていたにすぎなかったので、「とりあえずなにかしらは書く」という意識を持って書くようになってから、たくさん学びがありましたし、小説書きの意識がいくらか高まったように思います。

 

 もう2022年は残すところ20分を切りました。このブログが、今年じゅうにやり遂げるべき最後の仕事です。

 皆さんにおかれましては、今年も仁王立ちクララにお付き合いくださり、ありがとうございました。来年もぜひ、応援をお願いします。

 では、よいお年を。