肩身が狭くないルカリオ/鳥お兄さんコンプレックス/虫歯のオオカミ

 

 

 実は私、こんなことをしている場合ではなかったりします。なんだか考えないといけないことが多い毎日です。でも世間様の年末は、おそらく私など比ではないほど多忙なんでしょうね……

 要するに現実逃避なんですが、こういう状況にある時というのは、より一層趣味が楽しく感じます。現実というのは基本的につらいものなので、そこから逃げて好きなことをしている時は楽しくて当然なのです。

 さておき、私としてはこの振り返りを終えないまま来年を迎えるのはあり得ないのです! そして余所事がどれほど忙しかろうと、最低限この程度のペースは保っておかねば年末までに完遂できそうにありませんから、これもある意味でノルマということで。

 

 では振り返っていきましょう。今日も3作です。

 

 

 

 

ノーマルテラスしんそくエース型ルカリオはパルデア環境で肩身が狭くない

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 またまた続いてしまいました、ルカリオのシリーズです。

 執筆当時はまだパラドックスポケモンの解禁前の環境でした。ルカリオにとってもまずまず悪くない環境で、剣盾の環境がいかに地獄の様相を呈していたかを改めて思い知ります。とはいえ、SV環境もパラドックス・四災の解禁でどうなるかわかったものではありませんでした。なので環境が変わる前に書いておかねばならなかったのが本作です。

 

 前作からの続きを書くにあたって、テーマは「バトルで活躍できるようになったルカリオにどのような変化が起こるか」というものにしました。環境の変化に伴い、ルカリオはエースの働きができるようになったことで自尊心を取り戻した一方、仲間とのエッチの機会はむしろ失いつつあり、そのような中で仲間のウェーニバルに恋をしてしまう――というのが話の内容。

 このような複雑な情緒でクソデカ感情を描くのは大好きです。私、仁王立ちクララ、クソデカ感情がとびきりのフェチ

 

 このシリーズはルカリオの独特な思考展開による言葉遊びがマッチする内容なので、本作も思うぞんぶん楽しめました。ウェーニバルとラブラブになりたい。だけど仲間たちとのエッチを愛おしく思う気持ちは捨てられない。ウェーニバルからの愛を求めるのなら、仲間たちとの絆を手放さなければならない。今まで仲間との交流をエッチに依存していたせいで、今さら世間の常識に迎合して通常の交流なんかやり方もわからない――

 このシリーズの楽しさといえば、そのようなルカリオを取り巻く仲間たちでもありました。マスカーニャ、コライドン、テツノツツミ、いずれも面白いキャラに仕上がったと思います。しかし書いてみると、肝心のウェーニバル自体の出番がそれほど多くありませんでした。ルカリオがウェーニバルに対してビビり散らしているからというのも理由ではありますが、白状すれば他のキャラを書くのが楽しくなってしまった影響です。

 

 前回の記事で取り上げた作品もウェーニバルを書いたものがありましたが、あれはウェーニバル一人称に寄った三人称で書いた都合、ウェーニバルを掘り下げることがやや難しく、結局はウェーニバルというポケモンのポテンシャルをじゅうぶんに活かせたとはいえませんでした。であれば、本作では主人公であるルカリオの片想い相手として、ウェーニバルの魅力を強調すべきだったところ、他の要素を書くことに夢中になって、失念してしまったのです。推しを推せていないなど、自己満足にしても片手落ちの有り様です。

 そして何より、ルカリオがなぜウェーニバルに惹かれたのかという、最も肝心な部分の説得力に欠けてしまったことが大問題です。本作のウェーニバルはルカリオにとってだけでなく、読者にとっても魅力的である必要がありました。絶対に

 そこを怠った結果、話全体としても、なにやら薄ぼんやりした印象になっている気がします。

 

 反省としては、書きたかったことは書けていたものの、作品のテーマ完遂としては半端に終わったというところ。特に、推しの魅力を書くことに注力できなかったのは痛恨のミスです。最終的には、「作者だけが楽しい小説」の典型になってしまったでしょう。

 次にウェーニバルを書く時は、今度の今度こそ、とびっきりかわいいウェーニバルを書くぞ……

 

 そんなところで、次に参ります。

 
 
 
 

バレンタイン、隣の部屋を覗ける発展場で鳥お兄さんコンプレックスが爆発する

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 バレンタイン小説としては、出会いの話と別れの話を書きましたので、次は出会いでも別れでもあるものを書こうと挑戦してみたものです。しかしこれ、あまりにもバレンタインである必要性がなさすぎました

 

 かねてよりヘビクイワシという美しすぎる鳥を書いてみたいと思ってはいました。また、覗き窓のある発展場でのガッカリエピソードも、ネタとしてちょっとおかしくて面白そうだなと思っていました。しかしバレンタイン小説にそれらを超融合した結果、完全に手癖が要素を殺してしまったのです。

 舞台は発展場でありながら、内容の半分以上はヘビクイワシの友人についての過去回想。鳥フェチの主人公は他の種族の獣人とのエッチでは満足できないので、なりゆきでのなあなあなエッチによって、むしろ鳥を求める気持ちが強調されるという――そんなような当初の想定どおりに書くことはできました。相手が鳥ではないからいまいち気分が持ち上がらない。そのことで、会えなくなったヘビクイワシのことを思い出し、さらに鳥フェチをこじらせる。エッチという行為がカジュアル化する発展場で、それも隣の部屋で鳥さんがまさにエッチしているのを覗き見ることができるという、キャラ設定とシチュエーション自体は、それなりに活かせたかもしれません。

 しかしそもそも、バレンタイン物として公開し、また読者がそれを選んで読む以上、おそらくもっとわかりやすくバレンタインっぽいものを求めているはずなのです。

 

 妙にこじらせたシリアス調のものを書くよりも、ベタであろうがなんだろうが、直球ストレートを投げた方が読者のミットに突き刺さるに決まっています。また発展場という舞台も、もっとライトでコケティッシュな話の方が魅力的な話になったでしょう。しかも覗き窓のある発展場なんて舞台は、露出プレイの側面もありますから、風変わりな舞台の要素をもっと強調して話の内容に取り込むべきでした。

 その点、ライフセーバーの鳥を書いた時はよかったです。あれはもう底抜けに夏っぽいです。がんがらがんなども、それなりに正月気分を醸し出しています。季節物を書く時というのは、ああいうものでよいのです。

 

 本作は、プロットを用意せずに小説を書く弊害が思いっきり出たものといえます。プロットを書かずにいきなり本文を執筆するのは、まあライブ感重視といえば聞こえはいいですが、私の場合は行き当たりばったりに書いているだけなんですね。先に上げたライフセーバーもがんがらがんも、時期っぽいものを書こうと思って書いたのがたまたまそれらしいものになっただけで、テーマにふさわしい内容にしようと強く思っていたわけでもありませんでした。

 まずは話の軸を意識し、そこからブレないこと。小説を書く基本です。

 もちろん、好き勝手の書くのも楽しいことは楽しいです。が、反省点に気づけたのであれば、次に活かし、同じ轍は踏まないことです。作品の振り返りをするのなら、こういった反省もできればより有意義です。それによって、また一つ視野が広くなるのです。

 

 

 

 

虫歯のオオカミ、抜歯する。

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 自虐ネタ

 こういうことはあまり明らかにすると興ざめになってしまいかねませんので、深くは語りますまい。とにかく、抜歯というのは診断されただけでもかなりのショックなので、「これが獣人だったりしたらより一層のショックを受けることだろうな」と考えたところから、本作はスタートしました。医者から抜歯を言い渡され、ショックを受けながら怯えるオスケモ……うん、かわいいかもしれない、と。かわいそうなのは、適度であればかわいいのです。

 そこから連想していきました。抜歯後の生活で、吸引する動作を禁止されてしまったら、煙草はもちろん吸えないし、フェラチオだってできないよなあ。

 じゃあ総排泄腔だったらエッチできそうじゃね?

 ということで、肉食系の獣人と鳥さんのカップルで書くことに決まりました。

 主人公は何の種族にしようかな、というのはさほど考えませんでした。ほとんど最初からオオカミで想定していたのです。

 

 ここでクララあるあるなのですが、特に設定上の必要性がない場合、獣人を書く時はオオカミを選びがちなのです。というのも、虎やライオンなどでは屈強なイメージが先行しすぎますし、鳥はどうしても格好よく書きたくなってしまう。トカゲや竜などもちょっと特殊な生き物という感じもしますし、ニュートラルなイメージで書ける種族というのは、なかなかないんですよね。自然、その動物のイメージが強く出てしまう。

 それでいくと、オオカミというのは何とも扱いやすいです。格好いいキャラも、かわいいキャラも、堅物キャラも、ある程度なんでもしっくりくる。それがオオカミ。

 たとえば、去年のクリスマスに書いた農業オオカミなんかも、主人公が虎だったりしたらだいぶ印象が変わりそうですよね。まあ、あれは童話の「赤ずきん」も話のモチーフでしたから端からオオカミ以外で書くことはありえなかったのですが、とにかくそれほど強い個性を持たせない登場人物として、オオカミはちょうどいいのです。

 その便利さがあるので、私は特別オオカミという種族を推している訳でもないですが、その割にはオオカミを書いています。もちろん、嫌いかと言われれば大好きです。オオカミはケモノ界隈のセンターです。王道アイドルなのです。オオカミが嫌いなケモナーなど存在しないでしょう。

 

 話が逸れましたが、抜歯が決まってしょんぼりしているオオカミと、それを慰める恋人のワシというカップルは、かなりテーマに沿ったキャラクターになったと思います。鳥が主導する制限つきのエッチも、ちゃんと抜歯後というシチュエーションを活かせました。本作は「抜歯」というテーマから話が一度も逸れなかったので、内容が一貫しているし、死ぬほどわかりやすいです。書こうとしたものがシンプルだったというのもありますが、抜歯したことで日常に何が起きるのかということを実際に経験したからというのもありそうです。

 

 余談ですが、本作では小説を書くためにはじめてChatGPTを活用しました。
 といっても本文をAIに執筆させたのではなくて、抜歯手術の工程や、使用する器具の用途・名称などを問い合わせたもの。こういうネット検索では見つけにくい情報を得たい時、ChatGPTは非常に便利です。ただ、あくまでAIの返答なので、返ってきた情報が本当に正しいのかどうか確認する作業はありますが。

 一方で、小説のネタ出しというか、要素を肉づけしてゆく作業、シナリオ構成などにはさほど有用でもありませんでした。あれこれと試しながら、しばらくAIと話してみましたが、とりたてて小説に活かせそうなアイデアはもらえませんでした。もちろん、私の話し方がよくなかったということもじゅうぶんありえますが。

 そういう訳で、本作はほぼ100%、自力で執筆しております。

 

 本作は書きたいことが最初からはっきりしていたので、短い割に話もまとまっているかなと思います。この話、自分では特別好きでも嫌いでもないですが、まあミスらしいミスもないんじゃないでしょうか(誤字脱字は別にして)。反省としては、割とうまくいっている方だと思います。もちろん、想定通りのものが書けたからといって、それが面白いかどうかはまた別ですが。

 

 

 

 

 以上が、本日3作品の振り返りでした。

 今回の記事では「テーマ」というものに着目してみました。同じような時期に、テーマを完遂できたものとできていないものがたまたま固まっていたせいです。書き上げた直後はテンションも上がってますし、バイアスみたいなものもあって、すごくよく書けているように感じるのですが、冷静になって改めて見返してみるとまだまだ課題の多いこと……

 

 今回の反省点を忘れないうちに、何か一本、短くてもいいから小説を書ければなあと思いはするのですが、諸々のため今は執筆に関わってはいられません。今日のところは、これで現実に戻るとしましょう。

 現実というのは、つまり現実ということなので、いくら逃避してみた気になったとて、原理的に逃避など不可能なのです。早く平和な気持ちで年末を過ごしたい……