今年書いたものを振り返る/クリスマスのガブジュナ
能書き
去年の年末ごろ、私が敬愛しているポケモン字書きの某氏が「今年一年で書いたものを振り返る」というようなことをやっていたので、その試みをパクってリスペクトして、私も同じことをしていました。あれはなかなか楽しかった。
というのも、字書きというのは多かれ少なかれ、言いたいことがあるなら作品で表現すべしという不文律にとらわれているもの。自分が書いたものについて作者の立場からあれこれ言うなんて、どうしても野暮というのか、興が醒めるというのか、どうしてもみっともないような感じがしてしまいます。作品外で作品を語るという行いは、ほとんどタブーの領域なのです。
とはいえ、作者にとって作品に対する想いがまったくのゼロなわけがなく、私も時にはそういうものを語りたいとも思います。思うに、人間には語りたいという欲求がアプリオリに存在しています。作者の精神の凝縮である創作物についてなど、なによりも語りたいと欲望してしまうのです。
そんなときのアリバイとして、年末というのは非常に都合がよろしい。今年一年を振り返るという言い訳のもと、作者がどれほど自分語りをしようとも、それほど鼻につかない魔法の時期です。
我々字書き、みな承認欲求モンスター。この時期を逃す手はないのである!
しかしご存知のとおり、Twitterというのは長文でなにかを書き残すということにそれほど適しているわけではありません。だいいち、作者の作品語りなど作品に興味がない人にとってはもちろん、場合によっては作品や作者のファンであっても、見たくない人は見たくないのです。TwitterのTLというのは半ば公の場。そんな長々とした自分語りでTLを埋められたら鬱陶しいことこの上ない。
そんなとき、実はとても便利なものがあります。ブログである!
このブログを開設して最初の記事でも書いたように、特筆すべきブログの効用として見られないなら見られないでもよいというのがあります。この空間に書かれた文章というのは、読みたい人は読むだろうし、見たくなければ見なければ済むので、Twitterに垂れ流すより格段に適しています。元より、このブログは心置きなく自分語りができる場を持ちたいという趣旨ですから、作品語りにもちょうどいい。好きなだけ長文も書ける。おまけに画像や文字装飾で見栄えもする。
そのような次第で、この記事は、私、仁王立ちクララが2022年に執筆した全13作品についての語りを、本日より書き連ねてゆくものである!(太字にするほど多くもないな)
ガブリアスとジュナイパーで暖房いらずのクリスマスを本気出して書いてみた
冒頭で散々言っておいてのっけから2021年の小説からになるのですが、去年にTwitterで作品振り返りをしたのはクリスマス小説を書く前のことでした。今日とりあげるこの小説と、次回の正月小説は語らないまま振り返りを終えてしまったので、それらは実質2022年執筆として扱います。
ちなみに2021年の私は、pixivの○週連続投稿の記録をどこまで伸ばせるか挑戦しておりまして、実に8ヶ月間、毎週なにかしら投稿していたのですが、今作でついに一週間での執筆に間に合わず、記録もそこで断念となりました。しかしそれほどの長期間、なにかを書いて投稿していたというのは私のなかで大きな自信でもあります。
あの挑戦を始めてからいろいろなものが吹っ切れた感があり、とても大きな変化を感じた年でもありましたが、それは昨年の話なのでここで長く話すべきことでもありませんね。
では、小説の話に移ってゆきましょう。
タイトルからして一目瞭然なのですが、ポケモンの♂×♂カップリング小説です。
私はポケモンの原作もそれなりにやり込んで遊びますが、ポケモンでMOBAという唯一無二のゲームであるポケモンユナイトも熱心にプレイする方です。夏のWCS2022ユナイト部門もリアルタイムで観戦しました。
(完全に余談ですが、WCSポッ拳部門はめちゃくちゃ熱かったです。なんといっても、王者決定戦にジュナイパーが残っていたのです!)
この時期の私はジュナイパーに相当キュルっていました。元より猛禽大好きのケモナーで、ジュナイパーはそれなりにヘキであり、ポッ拳やユナイトで操作できることもさながら、年が明けて1月28日に発売を控えていたポケモンレジェンズアルセウスでは最初の御三家にモクローがいるということもあって、本当にジュナイパーが熱い時期でした。
本作、「ガブリアスとジュナイパーで暖房いらずのクリスマスを本気出して書いてみた」はポケモンユナイトの設定を用いた二次創作です。で、本作の主人公であるガブリアスと、相方のジュナイパーが、ユナイトのプレイヤー間でどう評価されているかというと……
ぶっちゃけ雑魚キャラである。
ポケモンユナイトにおけるジュナイパー
私だけの意見をいえば、ジュナイパーというキャラクターの性能はかなり評価できます。しかしジュナイパーを使う上で大きな問題となるのはエースバーンやゲッコウガの存在です。
MOBAというゲームの性質上、同じ役割のキャラクターが同じチームに二人以上いるのは編成として重くなります。また、ゲコ・エスバはジュナと同じアタックタイプでありながら、単騎でもある程度の動きが可能になるほど優秀な自衛手段を持っています。
ジュナイパーはゲコ・エスバよりも段違いに火力が高い反面、どうあっても味方の援護が必要になり、自分のPSは当然、味方のジュナイパー理解も要求されます。しかしそもそも、ジュナイパーが属するマークスマンと呼ばれるアタックタイプというのはそうあるべきロールであり、火力と自衛を単体で完結させてしまえるゲコ・エスバの方が、MOBAとしてはむしろ異様なのです。
とはいえ、ディフェンスタイプやサポートタイプの適切な支援があればジュナイパーはユナイト随一の火力を誇ります。また、ジュナイパーはかげぬいによる超長距離攻撃も可能で、当時これと同じレンジで攻撃できたのはフシギバナのソーラービームだけ。ただし、フシギバナはジュナイパーと同じアタックタイプながら、マークスマンとは違って技をメインに戦うメイジと呼ばれるロールです。野生ポケモンを倒すのは苦手な部類で、能動的なレベル上げに時間がかかり、そもそも多くの場面でフシギバナに求められるのははなびらのまいとギガドレインによる前衛能力でした。ジュナイパーとは住み分けができていたのです。
世間はジュナイパーに対して著しい低評価をしがちで、それは今も変わっていませんが、私は今でもジュナイパーをそこそこ高く買っています。適切に運用できれば間違いなく強い。しかし単騎で試合を動かせるほどのキャラパワーではなく、味方の援護が必須……と、文字にしてみてもなかなかいい具合にデザインされているのではないでしょうか。
しかし……世はまさにバランスタイプ時代。カイリュー、アマージョ、ルカリオ、ギルガルドなど、環境にはびこる強力なポケモンたちは、ジュナイパーを目にすると大喜びで蹂躙しにくるのです。あいつらはジュナイパーを経験値としか見ていません。
いかにディフェンスタイプやサポートタイプが後衛を守ろうとも、火力と耐久を兼ね備えながら縦横無尽に動き回るバランスタイプを足止めするのは至難の業であり、またそれらの防衛網をかいくぐるのが得意で、アタックタイプの天敵であるスピードタイプのアブソル、果てはアタックタイプでありながら猛烈な瞬間火力と、自己回復で耐久もあり、豊富な移動手段で退くも攻めるも自由自在のウッウなども環境に多く、ジュナイパーはもちろん、同じマークスマンであるゲッコウガ、エースバーン、ジュラルドンも揃って苦戦を強いられていました。
したがって、性能以前に環境としてジュナイパーに席はないと言わざるを得なかったのでした。味方からはジュナイパーをピックするだけで「ちょっと待ってね」とクイックチャットで煽り倒される始末……(まあそいつらに関しては大方の試合で最多キルを取ってジュナイパーの強さをわからせてやるのだが)
ポケモンユナイトにおけるガブリアス
一方、本作の主人公であるガブリアスはどうか。
ガブリアスといえば、原作では高水準にまとまった種族値と多彩な技で、一時期などはそれこそ対戦環境における主人公と呼ばれていました。霊獣ランドロスの流行やサンダーの復権、フェアリータイプの登場など、時代がくだるにつれてガブリアスの人気は下がっていったものの、剣盾においては攻撃しながらすばやさを上昇させるスケイルショットの習得をはじめ、ドラゴン・じめんの優秀な複合タイプによる持ち前の火力は健在で、がんせきふうじやステルスロックなどの起点作成も可能と、まだまだ強力なポケモンであることは変わりませんでした。最新作のSVの対戦でもガブリアスは環境的に強く、一定の人気はキープしています。
そして肝心のユナイトでのガブリアスは……
養護不可能レベルで弱い。
ポケモンユナイトというゲームにおいて、進化持ちのポケモンというのは序盤が弱いというという明確な弱点を持っています。中でもガブリアスの進化元であるガバイトなどは目も当てられず貧弱で、進化するまでは味方に相当な負担を強いることになります。
とはいえ、進化さえしてしまえば強力というコンセプトが進化持ちのデザインです。ガブリアスもレベルアップでガブリアスになりさえすれば……
残念ながら、ガブリアスは進化しても弱いのです。
そもそも、ガブリアスの強みとはなんなのか?
ユナイトのガブリアスは、通常攻撃の速度がとても速く、回復つきの通常攻撃を出し続け、殴りながらしぶとく戦うという性能のキャラクターです。
しかし前衛にいるタフなポケモンたちは、大抵は敵を行動不能にする妨害技を持っていて、ガブリアスが動けなくなっているところに後衛からの強力な攻撃が集中してしまうとひとたまりもありません。ガブリアスのタフさというのは回復込みのものであり、そもそも殴ることさえできなければ平均的な耐久力しかないのです。
では、耐久の脆い後衛たちを狙うのはどうか? 幸い、ガブリアスには長距離移動技があります。敵の背後を突いて飛び込めば一網打尽にできるのでは?
これもむずかしい。ガブリアスは通常攻撃に依存したキャラなので、技自体の火力というのはそれほどでもありません。技で敵の懐に飛びこんでも、最後は通常攻撃で倒さねばならない。しかしこの通常攻撃が問題で、先ほどガブリアスは通常攻撃が速いという話をしましたが、それは最終的な速さであって、速い通常攻撃を出すために、ガブリアスは最低でも2回、最大では5回も敵に通常攻撃を当てる必要があるのです。
2回ないし5回も通常攻撃をしている間、敵もただ止まっているわけではありません。すべてのポケモンが試合に持ち込むことのできるだっしゅつボタンで距離を取ってガブリアスの射程外に逃げるか、行動妨害技を切ってガブリアスが動けなくなっているうちに離れるか……ガブリアスはそういう逃げた相手を追いかける術がありません。
殴るために近寄らなければならないのに、近寄るために移動技を使わされるので、逃げられたら追いつけない。殴れる相手は妨害技のオンパレードで、そもそも殴らせてもらえない。よしんば殴れたところで強いかと言われればそうでもなく……
ポケモンユナイトのリリースから5ヶ月が経った当時、度重なるアップデートでガブリアスは強化され続けていましたが、ガブリアスを使い続けるにはキャラパワーがまったく足りておらず、そもそもこのキャラクターでやりたいことがゲーム性と噛み合っていません。さらにいえば、キャラクターが増えた今となってはハッサムでより強力に同じことができますし、進化してしまえば超強力を地で行く晩熟ポケモンのバンギラスなども実装されて、ガブリアスを使う理由はなくなってゆく一方です。
ジュナイパーはまだしも活躍しうるポテンシャルを秘めていましたが、少なくとも私の理解では、ガブリアスを使うのがどうあっても苦しい。もちろん、試合で活躍するだけなら、腕前と味方次第で可能でしょう。しかし忘れてはならないこととして、ガブリアスが活躍できる試合というのは、他のキャラであればもっと活躍できる試合なのです。
以上のような理由で、私はユナイトで遊ぶ際、使い方次第では強力なジュナイパーはまだしも、お遊びで出すという以上の理由でガブリアスを使ったことはありません。味方に負担をかけるのもいやですし、やるからには勝ちたいゲームですから、極力チームとして強くなるキャラ選びをしたいのです。
(この考え方をガチ勢がどうこうなどと言われたくないし、ランクバトルで勝ちを目指すのは当然だと思う)
そしてガブジュナへ(やっと本題かよ)
ただ、フェチであるジュナイパーはもちろんのこと、原作の対戦でたくさん使った思い出のあるガブリアスに対しても、私はけっこう思い入れがあるのでした。
以前から、なにかジュナイパーでエッチなものを書きたいなとは思っていましたし、ユナイトでジュナイパーを使い続けていると、ジュナイパー愛が再燃すること甚だしい。ジュナイパーという、このキャラクターが愛おしくてしかたない。これだけ熱心に遊んでいるポケモンユナイトでもなにかしらは書きたかった(2021年はゼラオラとルカリオでユナイトの短編を二度ほど書いたが)。ただ、その相手役をどうするか。ルカリオなどはカップリングとしても推しとしても申し分ないが、過去に散々書いているので芸がない……いっそトレーナーとの異種間モノにするという手もあるが……
そこに乾坤一擲の閃き。ガブリアスという可能性!
プレイヤー間で雑魚キャラと呼ばれるジュナイパーとガブリアスは、ポケモンユナイトの舞台であるエオス島で、さぞ形見が狭いだろうと思われました。その二匹にはなにかシンパシーのようなものがあるかもしれない。そんなところから、私のガブジュナはスタートしました。
ところで、ポケモン字書きが、ネタ出しとしてまず参照すべき公式物はなんでしょう?
言うまでもありません。ポケモン図鑑です。
ひとまずジュナイパーの図鑑説明文をGoogleで検索。なになに……
きほんてきに ようじんぶかくクールだが ふいをつかれると だいパニックに おちいってしまう。
(『ポケットモンスター ムーン』より)
こ れ だ ! !
そうなのです! ジュナイパーはやはりクールで思慮深く、格好良くなくてはならない。それは私が掲げる猛禽像においても実にそうです。愛らしいジュナイパーを描くには、クールな性格であることをまずは強調せねばなりませんでした。「強調した方が良い」のではない。強調せねばならない!
そして、クールなジュナイパーの精神的弱点を突き、パニックにさせる相手役として、ユナイトにどんなキャラがいただろうか? そんなものはガブリアスに決まっている!
元々、ガブリアスのことは好きといえば好きでした。対戦でも使っていたし、なんといってもルックスがいいじゃないですか。鎖骨がエッチだし。主役としても申し分ないし、エッチ小説を書くのに抵抗もない。
(カビゴンとかギルガルドでエロを書けと言われるよりは明らかに問題が少ない)
同じ雑魚呼ばわりされていても、ジュナイパーはクールで、ガブリアスは傍若無人。そのような性格付けをしても非常にマッチしているように思う。いつもはジュナイパーの聡明さについていかれないところもあるが、ふとしたときの大胆さでジュナイパーを翻弄してしまうガブリアス……ああ、これしかない。これ以外に考えられない!
最初、ジュナイパーのエッチ小説のアイディアとしては二通りありました。「酒の勢い」と「発展場でバッタリ」です。前者はそのまま、後者は「ジュナイパーのようなクールなポケモンもやることはやってる」というギャップを書きたかったというものです。
当時、ポケモンユナイトはクリスマスイベントの真っ只中で、クリスマス専用のルールなどもありましたから、エオス島でトレーナーと一緒になってポケモンもパーティーなどで楽しむ姿は容易に連想できます。私は普段、酒に酔った勢いでエッチになだれ込む、という趣旨のものは書かないようにしています。安易だし、何度もやるほど秀逸なネタでもありません。とはいえ、時期が時期です。私も大人ですし、パーティーの楽しさで飲酒くらい、書かねば嘘というものでしょう。クリスマスに酒。これは決定。
でも、発展場ネタもボツにするには惜しい。そんなところにいるところを知り合いに見つかってゲイバレし、あたふたするジュナイパーというのはすごく魅力的だと思ったのです。クールさと気弱さのギャップ。これは絶対にかわいい。しかもこの機を逃すと、ジュナイパー以上にシチュエーションを活かせる機会があるかどうか……
ええい、ままよ! 両方やっちまえ!
と、もったいない精神を発揮してアイディアを二つとも使うことにしたまではよかったです。しかしよくよく考えれば、そのアイディア同士の相性がどうもよろしくありませんでした。
酒も発展場も、どちらも展開としては明るい。エッチにもってゆく流れも簡単です。しかしこれらを同時にやろうとすると、不思議とうまくいかない。パーティーで一緒に酒を飲んだはずなのに、一旦解散して、二匹ともそれぞれ別々に発展場へ行き、現場で結局バッタリ……話の流れとして、なんともとっ散らかっています。場面が挟まれるのがなんだか無駄に感じる。酒の席と、発展場……その二つをどう接続したものか。
そこで私の手癖が発動することになりました。思考ゲームの始まりです。あとのことはもう、読んでいただければおわかりでしょう。
ここまでネタが固まれば、あとはもう思いのまま。ジュナイパーの聡明さを遺憾なく書き出し、ガブリアスの豪快さで解決に導き、ゼラルカの話とも絡めて多少のエモを演出して、エッチシーンにこれでもかとフェチを詰め込むだけで書けます。
読者から頂いた感想として、私の書くものは「しんどさ」という特徴があるそうです。キャラクターが抱えているものが重い。私のポケモン小説でいえば、以前記事にもした4Vクリムガンもそうですし、ガオルカやエスストもそれなりに重い。そのようなしんどい小説を意図して書いているところはあり(そうして爪痕を残そうという狙い)、これも手癖といえば手癖かもしれません。現に直前に執筆していた「死にたい不老不死と死なせる魔法使いのSFを本気出して書いてみた」では、キャラクターの背景や心情という部分でかなりゴチャつかせて、全編通してそうではないもののシリアスな部分はシリアスでした。
その点、このガブジュナは比較的シンプルにラブコメして、楽しんで書けた覚えがあります。普段は「こういう話を書こうかな」というアイディアが先にあってから書きますが、ガブジュナに関しては「このキャラでなにかを書きたい」というキャラ萌えが先行していた部分が大きかったので、それが理由でしょう。最初からキャラの愛らしさのみにフォーカスして書いていたような気がします。
今作はもちろんジュナイパーの愛らしさを全面に押し立てているのですが、主人公であるガブリアスも魅力的に描けたように思います。鬱屈した想いも少なからず抱えながら、この日だけはジュナイパーを愛し尽くしてやろうとするガブリアスの姿は、かわいかった。親馬鹿な話ではありますが、私はこのガブリアスはとてもかわいく書けた気がして、気に入っています。
原作の対戦では、私はかならずルカリオをパーティーに入れているのですが、ガブリアスというのもポテンシャルの高いポケモンですので、メイン軸ではないにしろ起点作成やサブエース運用など、長く、幅広く使っていました。そういうポケモンですので、DPPtでの初登場から長いですが、ようやくガブリアス主役で一本書けたという点で嬉しくもあります。
白状すれば、ガブリアスなんていろんな人が主人公にしているし、わざわざ自分が書くまでもないと思っていたし、実際に友人にそのような話をしたことさえありました。それが実際に書いてみると、ガブリアスのことをどんどんに好きなってゆくのです。このガブジュナを書いて以降、やはりガブリアスを見る目も少しは変わりました。心境の変化というのはわからないものです。
そんなようなわけで、最初の作品について語りたいことは語り終えた気がしますので、このあたりにしておきましょう。最初があまり長いと以降のハードルが高くなるし。
それにしても、二次創作の気楽なのは、キャラに惚れさえすればあとはどうとでも書きようがあるところです。ポケモンなどは特にそうで、外見さえそのポケモンであれば、性別や性格付けなどをはじめ、各設定のほとんどが自由です。そしてそのポケモンを好きでさえあれば、どんなものであれ見てもらえる確率が低くない。キャラデザインも公式のものが豊富に公開されているので、容姿の説明も不要です。
一次創作ではそうはいきません。これがケモノキャラであればまだ、種族特性を説明すればある程度の想像もつく。人間はどうすればいいのか……髪や服装くらいでしかなかなか明確な説明ができない……そして容姿はキャラへの魅力や愛着、単純な設定のインプットにも直結するので、可能な限り克明に描写しておきたい……
その点で、ポケモン小説は気が楽です。ピカチュウといったら、100人が100人、あの外見を思い浮かべてくれます。
二次創作には原作という拠り所があるぶん、そこから書けることもたくさんありますし、すべてを一から構築してゆく作業が少なくて済むのは、創作してゆくうえでとてもありがたいです。
しかし二次創作ばかりでは、そのジャンルを知らない読者は獲得できません。2022年はほぼほぼポケモン小説に終始していましたので、そろそろオリジナルでなにか書かねばなりません。原作という神の存在に甘えて書いてばかりではいられない……