肩身が狭いルカリオ/夏バテに効くガブジュナ
ようき最速ASルカリオは禁伝環境で肩身が狭い
私は「波導の勇者」以来のルカリオ推しですので、ランクマッチでの対戦にも必ずルカリオを採用しております。が、ルカリオがまったく刺さらない環境というのも当然あるわけです。ローブシンや霊獣ランドロスが登場した第5世代と、ダイマックスとの相性があまりも悪い第8世代などはとくに苦しかった。
推しが活躍できないランクマッチというのは、まあ楽しくないものです。ルカリオの枠に違うポケモンを採用できていれば、と思ってしまう一方、ルカリオを活かしてやれない自分の実力不足も痛感されます。かといって、ルカリオを軸にパーティを構築している以上、代わりに別のポケモンを入れると、それはそれで具合が悪いのです。
ルカリオとポケモンバトルがしたくてプレイしているはずなのに、次第にルカリオを使うことが縛りプレイのように感じられてくる。これがとてもつらい。
第8世代。すべてのポケモンがダイマックスできるというシステムは、一見どんなポケモンであっても活躍する機会が広がるように思えます。しかし実際にはメガシンカのように、ダイマックスと相性のよいポケモンほど強く恩恵を受けるシステムでした。だいたいダイジェットのせいです。
こちらがギャラドスをピンポイントで対策するためにかみなりパンチを採用しても、ダイマックスで耐えられてダイジェットですばやさを逆転され、起点にされてしまうのです。4倍弱点を平然と耐えるな! ではこちらもダイマックスを切って対抗しようにも、ルカリオはダイジェットを使えないので逆転したすばやさはどうしようもなく、タイプ一致のダイナックルは威力90とインファイト以下。ダイスチルは追加効果がぼうぎょランク上昇と、中速・低耐久のルカリオでは活かしづらく、そもそも耐久力が低く倒されやすいうえ、A110C115と敵への圧力もかけられないルカリオでは、ダイマックスを切ること自体が戦術としてそれほど強くありません。
エースバーン、ドラパルト、トゲキッス、アイアント、パッチラゴン……環境上位は、ルカリオが戦ってゆくにはことごとくつらい相手ばかりです。ただでさえそのような、地獄の環境でした。それが挙げ句の果てには……
伝説のポケモンを使えるルールでは必ずトップメタとなってきたポケモンがいます。カイオーガ、イベルタル、ゼルネアスです。私は公式大会などに出場したことはないので、知識としてしか知らなかったのですが、いよいよランクマッチでもやつらと戦わねばならない日がやってきたのでした。
それに加えて、剣盾にはみなさんご存知のあいつがいるのです。ザシアンが……
もはや、ルカリオの主軸ではやっていかれない環境でした。あまりにもスペック不足。そんな環境でも使用率1位のサンダーはマジでなんなんだ。
いったいルカリオにどうやって生きてゆけと言うのでしょう? これではもう、環境トップメタの性処理役にでもならねばどうしようもないじゃないか。
以上が今作の着想でした。我ながらひどい話だ。
ガオルカやエスストでも対戦環境には触れてきましたが、どうやらポケモンで二次創作をしている人々というのは、それほど対戦には関心がないというか、ガチのポケモンバトルを取り扱っている創作を見かけないのです。
私はそれなりに対戦もやる人間ですし、これだけ時間をかけて遊んでいるゲームですから、その経験を活かさない手はありません。誰も書かないのであれば、私が書いてやろうという気持ちがありました。今作はポケモンバトルそのものは主題ではないものの、環境に居場所がないことの鬱屈した気持ちを抱えたルカリオ、というデザインはやはり対戦という観点でポケモンを楽しんだ人間にしか書けないでしょう。
努力を怠っているわけではない。やれるだけのことをやっている。それでも世間や現実がそれを認めない。このような憤りはエスストでも描写しましたが、ストリンダーが一応のよりどころを見つけられた一方、今作のルカリオは根本的にはなにも解決していません。だってなにをどうしても環境は続くんだし……
そもそも今作は、剣盾のレギュレーションがランクマッチとしてはとても珍しかったので、そういう環境でしか書けないものを一本書かねば、という思いで執筆したものです。環境のせいで自己肯定感が低いルカリオが、なんとか自分に価値を見出そうとして体を使う話です。こういうもんはエロけりゃいいんだよ! 環境をダシにしてエッチなルカリオを書ければそれでいい!(でも5Pを描写するのはいくらなんでもキツかった)
ルカリオというキャラクターからして、創作上、大抵は主人公気質な優等生の姿で登場します。今作ではちょっとネガティブなルカリオを書くことができたし、意外とこういう性格もしっくりきたので、楽しかったですし、我ながら、なかなか好きです。私の性質としても、ネガを書くと筆が乗る。
そして、そういう環境だからこそ、ルカリオを活躍させられたときの歓びは格別です。「おれが世界で一番ルカリオを上手く使えるんだよ!」という気がするのです。この興奮ばかりは、ガチ対戦を経験したことのない人にはわかりますまい。ポケモンバトルは試行錯誤と創意工夫の凝縮です。それがなんとも報われたように感じます。
私はルカリオが好きで、ポケモンバトルが好きで、小説を書くのが好きな人間だから、こういう話も書けるのです。それが言いたいがために書いたようなものでした。でもまさか続編を書くことになるなんてね。それについてはまた別の記事で。
ガブジュナが夏バテに効くってマジ?
夏には夏しか書けないものがあります。
ということで、クリスマスのときのあいつらの続編を書きました。
なんだかんだといっても、前作はエッチにもっていくための話だったので、今作ではガブリアスとジュナイパーの交流そのものを書きました。私の手癖は、なんとなしに物事をシリアスにしてしまいがちなのですが、前作ではキャラ萌えによるストレートなラブロマンスを書いたのです。「書こうと思えば、割とこういうのも書けるんだな」という新発見で、今度はわかりやすいラブコメを書いてみたいと、前作の時点からずっと思っていたのでした。この二匹、けっこう私のツボにハマったキャラになったので、また動かしたかったのです。
前作で交尾までした二匹ですが、やることやってしまってからは、なんだかかえってプラトニックな感じになっちゃって……みたいなこと、あると思います! とっくに両想いなんだからキスくらいできるだろ、というところでなぜか一歩踏み出せない。そんなところも、いかにもラブコメしている。こういう話にできたのは前作があったからこそかもしれません。続編というのは、一から関係を構築する必要がないのが楽です。すでに積み重ねがある、という前提で書くことができます。前作でも今作でも、基本的にはジュナイパーが一枚上手なわけですが、今作ではジュナイパーにおいしいところを持たせたままにして、前作とのバランスを取りました。かわいいだけではなく、クールなジュナイパーもちゃんと書かなきゃね。
自分で書いたものですが、ロトムの目論見を看破してゆくジュナイパーを書いているときはもういけいけドンドンでした。このジュナイパー、最高にセクシーだぜ……と思いながら書いていたのです。やはりこの手のキャラが最高のヘキなんですね、私は。そしてそのクールな顔が崩れてしまう瞬間もたまらなくチャーミング。
今まで私が書いたカップリングの中でも、ずば抜けてラブコメ映えする二匹ではないでしょうか。ほかの連中がすっかり通じ合って両想いであるのに対し、ガブリアスとジュナイパーは互いに対してまだまだ意地を張ってるからでしょうかね。関係が完成している、とまでは言えない感じがするのです。
ところで、ポケモンユナイトを題材にすると、ちょっといいこともあります。「よそのポケモン」を書きやすいのです。
というのも、ポッ拳と同じようなもので、ユナイトバトルはエオス島特有のバトルなので、トレーナーはエオス島在住と思われます。そうなれば、よそのトレーナーのポケモンに会いにゆくことも容易なのです。原作ではトレーナーが旅をしている以上、ポケモン同士の関係を書こうにも、どうしても手持ち同士、野生同士になりがちです。それだっていかようにでも書き方はありますが、やはり書けることが少しずつ変わってきます。
たとえば、今作のように主人から離れてポケモンだけで動く、ということもやりやすいです。ポケモンだけでちょっと表に遊びにいくくらいなら、できなくはない。
ただ難点もありまして、1000匹近いキャラクターがいる原作とは違い、ポケモンユナイトは実装キャラが少ないのです。ルカリオ、ゼラオラ、ガブリアス、ジュナイパーを消費したので、あとはリザードンかウーラオスあたりでしょうか。バンギラスとエースバーンは他で書いちゃったしなあ……
もうひとつ。ポケモンユナイトにはストーリーがまったくありません(かろうじて公式漫画がある程度)ので、ユナイトで創作しようと思うと話そのものはゼロから組み立てねばならないわけです。原作であった出来事などを拠り所にできない。ややもすると、「これユナイトじゃなくてよくない?」となるわけです。今作は、ギリギリのギリで、舞台がエオス島であることを活用していますが、前作や、もっと言えばゼラルカほどにはポケモンユナイトを活かせていません。そこらは今後の課題です。ユナイトでなにか書くことがあれば、ですが。
しかし、ユナイトは今後もアップデートされ続けるタイトルです。ポケモンSVも発売されたことですし、第9世代の新キャラが実装されるのも時間の問題でしょう。もしウェーニバルなどが実装されようものなら、私はなにを置いてもユナイトで一本書くでしょう。
ユナイトは未知の可能性を秘めたタイトルです。しかも、アップデートされ続ける性質上、いつ書いても「旬を過ぎる」ということがありません。これは創作してゆくうえでとても心強いことです。令和にわざわざBWの小説を読んでくれる人がどれほどいるでしょうか。
そう思うと、ガブジュナはもちろん、ゼラルカもまだまだわからないところです。今はネタがないだけで、いずれなにかしら書きたくなるかもしれない。それはDLCが来ない限り新素材を望めないSVよりも、よほどあり得そうなことなのです。
それに、ユナイトバトルは競技性の高いバトルですので、いずれスポコンみたいな感じのものも書きたいかもしれない。漏れなつ。で二次創作したときにガチのサッカー小説を書ききった経験は伊達ではない。11対11のサッカーに比べれば5対5のユナイトバトルくらいどうとでもなりそうな気がするのです。サッカーよりよほどルールを理解してるし。
でもそのときはガブジュナはお休みになるでしょうな。なんせこの二匹は雑魚キャラなので……